Columnコラム

【2025年ラクロス男子20歳以下日本代表対談企画 Volume 2.】「憧れを現実に」—地方出身日本代表が目指す世界の舞台

地方でラクロスを始め、日本代表まで駆け上がったふたりの選手がいます。九州大学・中村優仁選手(山口県出身)と、南山大学・小池貫太選手(岐阜県出身)。2025年8月、韓国・済州島で開催される「2025 World Lacrosse Men’s U20 Championship」に向けて、ラクロスとの出会い、地方で戦うことの難しさ、そして世界大会への意気込みまで。地方出身だからこそ見えた景色と、彼らなりの努力の軌跡を、じっくり聞きました!

──自己紹介 & ラクロスを始めたきっかけ

進行:都築真珠(2025年ラクロス男子20歳以下日本代表 広報)


都築:それではまず、自己紹介をお願いします!

中村:九州大学3年の中村優仁です。山口県出身で、現在は2025年ラクロス男子20歳以下日本代表のSSDM(ショートスティックディフェンシブミディー)候補として活動しています。

小池:南山大学3年の小池貫太です。岐阜県出身で、代表ではAT(アタック)候補に選ばれています。

都築:ラクロスを始めたきっかけは何でしたか?

中村:これはあるあるだと思うんですが、新歓でシュート体験をして、先輩たちにたくさん褒められて。「ラクロス、めっちゃ楽しい!」と思ったのが、始まりでした。

都築:そのときからSSDMだったんですか?

中村:いえ、最初はATでした。でも、1年目が終わる頃に「どうすれば試合に出られるか」を考えたとき、SSDMは人が少なくてチャンスがあると思ったんです。それに、周りから「しみー(あだ名)ならSSDMで活躍できるよ!」と言われて、「じゃあやってみるか!」とポジションを変えました。

都築:なるほど。最初は褒められて始めたラクロス、続けられた原動力は何だったのでしょう?

中村:期待してくれる人たちの存在ですね。昨年は1年間ずっとトップチームにいて、先輩たちのために頑張らないとという気持ちが強かったです。

都築:人のために動けるところが、熱量の源になっているんですね。

中村:もちろんラクロスも好きですけど、やっぱり人の存在が一番の原動力です。

昨年トップチームで戦った中村選手(背番号11)

小池:僕は先輩の熱心な勧誘と、「大学から始めて代表を目指せる」という点に惹かれて入りました。実際に南山から奥村祐哉選手(南山大学卒業、2023年男子日本代表)が代表で活躍されていたので、「自分も日本代表になりたい」と憧れを持ったのが大きかったです。

野球をやっていた経験もあって、シュートは最初から得意でした。でも、当初はまさか日本代表を目指すとは思っていませんでしたね。トライアウトの存在を知ったとき、「絶対受けよう」と決めました。

都築:やってみたら意外とイケるかも、という感覚だったんですね。

小池:最初はルールもよく分かっていませんでしたが、出身スポーツのスキルが活かせることに気づいて、どんどん魅了されていきました。

一年生の小池選手(写真左)

──代表入り後の変化と地方での工夫

都築:日本代表に選ばれてから、意識や取り組みに変化はありましたか?

中村:地方あるあるだと思うんですが、代表練習で得られる情報量がとにかく多いんです。九州は関東から1000km以上離れていて、どうしても情報やノウハウが入りづらい。だからこそ、代表練で得た知識をチームに還元できるのは大きいです。

最初は「グラボ(グラウンドボール)」を戦術的にどう奪うのかをチーム全体として深く考えてなかったですが、今では「もっと工夫できたよね」と話せるようになりました。本当に代表に入ってよかったと思っています。

小池:僕も同じです。地方では、尾花さん、細梅さん(U20OFアシスタントコーチ)のようなトップ選手から技術を直接学ぶ機会がほぼない。だから、得た知識をどれだけ自分のチームや地域に還元できるかが、今の自分の役割だと感じています。

実際に南山大学でも、代表で学んだ2v2などを取り入れてアウトプットしています。

都築:U20選手が地域を活性化しているのはとても嬉しいですね!

──地方と関東の違い

都築:地方ラクロスと関東ラクロスの違いって、どう感じますか?

中村:まず、プレーの強度が全然違います。グラボへの寄りやディフェンスの強度など、明確な差があります。競技人口の差もあると思いますが、基礎技術の差にはカルチャーショックを受けました。

昨年、KAWASAKI FALCONSの練習に参加させてもらった際に小峰拓磨選手(2025年男子日本代表)がいて、「これはショットか?」と思うような速いパスを軽く出していて、衝撃でした。

都築:練習試合の数にも差がありますよね?

中村:はい。関東の試合数に比べて、地方はおそらく半分以下だと思います。

小池:関東は「当たり前のレベル」が高いですね。練習中の声出しやチームまとめの意識も強い。チーム内の競争意識も強くて、層が厚いと感じます。

地方だとどうしても人数が限られていて、競争意識は少なくなってしまいがちです。

都築:そんな中で、どんな工夫をしてきましたか?

中村:僕の大学には4学年上に守田樹選手(九州大学卒業、2025年男子日本代表)がいて、日本代表を目標にしやすかったんです。1年目はみんな頑張ると思うんですが、2年目が肝だと思っていて。

僕は「全国で戦いたい」というモチベーションがあったので、それが支えになっていました。

小池:僕は1年の初めに「うりぼうキャンプ(全国の1年生向けのクリニック)」に参加して、関東の強さを初めて実感しました。その後、SNSで同い年の選手と繋がって、動画などを参考にして自主練を重ねました。ダッジの上手い人の動画を真似して、コーンを使って練習したりしていましたね。

都築:お二人とも、静かそうに見えて、実はとても熱いですね!

3年生ながら自チームでも大活躍する2人(左:小池選手 右:中村選手)

 

──世界大会への想いと目標

都築:世界大会に向けてのモチベーションや目標は?

中村:代表練に出るたびに「ラクロスが上手くなってる!」と実感します。相手も、仲間も、指導者もビッグネームばかりで、得られることが本当に多いです。だから毎回が楽しみです。

小池:この世代を代表する選手たちと、世界を相手に戦えるというのは、本当に特別な経験だと思っています。ラクロスを始めてよかった、と心から思えます。なので、世界を倒せるよう頑張ります!

都築:個人的な目標は?

中村:世界大会で、SSDMとして絶対に点を取りたいです!上がりきってランシュー打つので、期待してください。パスは出しません!(笑)

小池:出してください(笑) 僕は左のスタンシューが持ち味なので、アメリカ代表やカナダ代表から得点を奪いたいです!

──最後に、地方ラクロッサーへのメッセージ

都築:最後に、地方で頑張るラクロスプレイヤーにエールを!

中村:「地方だから関東を常に意識しなきゃ」というより、まずは身近で一番うまい人を越えること。それが「Spearhead(先頭に立つ者)」になる一歩だと思います。

小池:自分の強みを徹底的に磨くことが大切です。僕は左のシュートを武器にしてきたので、「ここだけは誰にも負けない」ものを持つことが、選手としての幅を広げてくれると思います。

都築:ありがとうございました!お二人の熱い想いが、きっと多くの読者の励みになると思います!


<編集後記>

地方という環境の中でも、自分の「やるべきこと」を見つけ、積み重ねてきた中村選手と小池選手。華やかに見える日本代表の舞台の裏には、日々の地道な挑戦と、仲間を思う熱い想いがありました。 ラクロスが上手くなりたい。もっと試合に出たい。仲間のために頑張りたい。
その気持ちがあれば、どこでやっていても、きっと上を目指せる。そう感じられる時間でした。


このインタビューが、今まさに環境や立場に悩みながらラクロスに向き合う選手たちの背中を押すきっかけになれば嬉しいです。
このふたりが世界の舞台でどんなプレーを見せてくれるのか、今からとても楽しみです。
皆さんも、彼らの挑戦にぜひご注目・応援よろしくお願いします!

<大会情報>

8月の世界大会に向け、各練習会で選考を行っており、6月に代表選手の最終決定が行われます。

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