Columnコラム

最大のアップセット。Virginiaが首位Notre Dameを撃破。——Road to Championship Weekend|Week 8

数字がすべてを語る。Richmond、9勝0敗。ただし、それだけでは1位になれなかった——去年まで、この世界はそういう仕組みだった。だがWeek 8、ポールが動いた。ACC・BIG10・IVY LEAGUEの外から、初めてトップに立つチームが生まれた。ラクロスマガジンジャパンでは、今季のNCAA D1シーズンをWeekごとにピックアップ。注目ゲームの戦評と翌週の見どころをお届けする。

Week 8(3/28〜3/30)Pick Up ゲーム

North Carolina 17 vs 7 Harvard|Owen Duffy、キャリアハイの活躍

1Q 2Q 3Q 4Q FINAL
NORTH CAROLINA 3 7 3 4 17
HARVARD 1 2 3 1 7

メリーランド州Severn(Archbishop Spalding)

 

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ラクロスには、ボールを持つ側が圧倒的に有利なルールがある。シュートを打てるのは、ボールを持っているチームだけだからだ。

この日のNorth Carolinaは、その原則を極限まで突き詰めた。フェイスオフ(試合開始や得点後にボールを奪い合うプレー)を担うBrady Wambachが、25回のうち22回を制した。勝率88%。Harvardは試合の主導権を握る機会すら、なかなか与えてもらえなかった。

キャリアハイの男——Owen Duffy、7ゴール

Wambachがフェイスオフを制するたびに、North Carolinaの攻撃陣にボールが渡った。その恩恵を最大限に受けたのが、Owen Duffyだ。この日7ゴール——自身のキャリアで最多の数字を刻んだ。

最初の得点は開始早々。ディフェンダーを引きつけながらゴール脇の隙間へ飛び込み、低い位置に流し込んだ。続いてバックハンドで3点目を追加。第2クォーターにはハッシュマーク(ゴール前の印)上空から左手でジャンプシュートを叩き込み、スタンドをわかせた。

「序盤に1点入ると本当に助かる。でもそれ以上に、チーム全体として速い立ち上がりができたことが、試合を通じて大きかった」——Owen Duffy

Duffyだけではなかった。Dominic Pietramalaが今季5度目のハットトリック(1試合3ゴール)を達成。Mason Szewczykが2ゴール1アシスト。フレッシュマン(1年生)のLuke BairがAnthony Raioからのパスを決めるなど、9人の異なる選手がゴールを記録した。

「もっとできる」——Army戦後のミーティングが生んだもの

この試合の前週、North CarolinaはArmyとの試合でWambachが27回中21回のフェイスオフを制しながら、1点差の薄氷の勝利しか得られなかった。

試合後、チームキャプテンたちが選手を集めた。「セルフレスに(自分よりチームを優先して)、自分の役割を全うしよう」——その言葉が、この試合のチームを作った。

「フェイスオフで70%勝っていたのに、それを活かしきれていなかった。今日はショットクロック(攻撃時間制限)をうまく使い、ボールを共有した。それが結果につながった」——ヘッドコーチ Joe Breschi

Wambachもウィングのパートナー、Parker Hoffman(6グラウンドボール)やPeter Thommanと呼吸を合わせ、ルーズボールの争いでも存在感を示した。チームとして仕上がりつつある。次週はSyracuse——ACCの大一番が待っている。

Week 8 その他の注目結果

Virginia 11 vs 9 Notre Dame|19分34秒、ゴールを許さなかった守備

1Q 2Q 3Q 4Q FINAL
NOTRE DAME 3 3 3 0 9
VIRGINIA 3 2 4 2 11

バージニア州Charlottesville(Klöckner Stadium)

試合前、ヘッドコーチのLars Tiffanyはロッカールームでこう言った。「もし俺たちが勝っても、それは番狂わせなんかじゃない。自分たちの力を信じろ」——Hudson Hausmannはその言葉を試合後に明かした。

Virginiaが、1位Notre Dameを11-9で下した。3779人が集まったKlöckner Stadiumで、Virginiaは最後の19分34秒、ノーゴールでNotre Dameの攻撃を完封した。

Truitt Sunderland(2ゴール2アシスト)、Brendan Millon(2ゴール2アシスト)、McCabe Millon(1ゴール3アシスト)が攻撃を牽引。ゴールキーパーJake Marekが11セーブを記録し、今季の正GKとしての地位を確立した試合でもあった。

試合終盤、残り49秒でNotre DameはタイムアウトをとってMatt Jefferyに最後のボールを委ねた。しかし1年生のRobby Hopperがオーバーヘッドチェックでターンオーバーを強制。Hausmannが最後のゴールを流し込み、試合を決めた。

「第1クォーターでは落ち着けと言っていたんだが……終盤は本当にクラッチだった」——John Schroter(Hopperについて)

Virginiaは今季、Johns Hopkinsへの後半崩壊、Marylandへの延長負けを経験してきた。それでも3連勝で辿り着いたのが、この一勝だ。ランク外から一気に14位へ。プログラムの「信じる力」が、数字になった週だった。

KANE Media Poll|Week 8

アメリカのラクロスメディアが投票で決める週刊ランキング。今週の最大のニュースは、Richmondが初めて1位に立ったことだ。ACC・BIG10・IVY LEAGUE以外のチームがトップに立つのは、2024年シーズンのWeek 6にArmyが1位になって以来。Richmond(9勝0敗)は3試合のカンファレンス戦で合計62-20という圧倒的なスコアを記録し、Georgetown・Cornell・Virginiaという格上相手への勝利も積み上げてきた。

 

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KANE Media Poll|Week 8

順位 チーム 戦績 前週 今週の結果
1 Richmond 9-0 2 W 24-8 Hobart。初の1位。ACCでも大学の外から新王者誕生
2 North Carolina 9-1 4 W 17-7 Harvard。Wambach 22/25、Duffy 7ゴールで圧勝
3 Syracuse 9-2 5 W 16-15 Duke。全勝のDukeをアウェーで逃げ切り
4 Notre Dame 6-1 1 L 11-9 Virginia。初黒星。最終クォーターで得点ゼロ
5 Princeton 6-2 7 W 20-14 Brown。安定した得点力でTop 5に定着
6 Penn State 6-3 10 W 13-6 Ohio State。主力不在でも白星を重ねる底力
7 Harvard 8-1 3 L 17-7 North Carolina。今季初黒星、フェイスオフで完封された
8 Duke 8-1 6 L 16-15 Syracuse。強豪との初戦、1点差で惜敗
9 Ohio State 8-2 8 L 13-6 Penn State。BIG10の主役争いで一歩後退
10 Cornell 5-3 9 L 13-12 Yale。アイビー首位の座を、同リーグのYaleに奪われた
11 Georgetown 4-4 14 W 17-5 Denver。大勝でTop 15圏内へ浮上
12 Maryland 4-4 12 W 14-8 Michigan。主力のケガを抱えながらも白星
13 Rutgers 8-3 17 W 9-8 Johns Hopkins(2OT)。延長2回の死闘を制した
14 Virginia 6-4 圏外 W 11-9 Notre Dame。ランク外から一気に14位。今週最大の番狂わせ
15 Penn 5-4 15 W 16-14 Dartmouth。新監督体制でトーナメント出場圏を維持
16 Johns Hopkins 6-3 11 L 9-8 Rutgers(2OT)。延長2回の末に痛い黒星
17 Towson 6-3 19 W 14-10 Drexel。CAA(カンファレンス)の自動出場枠を狙う
18 Yale 4-4 圏外 W 13-12 Cornell。ランク外からTop 20入り。IVY首位争いに名乗り
19 Army 7-3 18 W 14-11 Lehigh。安定した勝利でパトリオットリーグを走る
20 Sacred Heart 10-0 圏外 W 15-13 Hofstra。全勝のまま初ランクイン。NEC(カンファレンス)の台風の目

※ 戦績・順位はKANE Media Poll発表時点

Next Week(4/4〜)注目カード

North Carolina vs Syracuse|ACCの覇権争い

Syracuse @ North Carolina

ノースカロライナ州Chapel Hill

ACCリーグ戦の最注目カード。2位のNorth Carolinaと3位のSyracuseが激突する。SyracuseはWeek 8で全勝のDukeを1点差で下したばかり。接戦を制する力を証明した直後に、今度はWambachとDuffyのいるChapel Hillへ乗り込む。どちらが勝っても、全米タイトルへの現実味が増す一戦だ。

Richmond vs Notre Dame|新旧1位が激突

Richmond @ Notre Dame

イリノイ州Evanston(ACC Network Extra中継)

今週1位に立ったRichmondが、前週まで1位だったNotre Dameの本拠地へ向かう。Virginiaに敗れたNotre Dameが本来の強さを取り戻せるか。それともRichmondが「ただの穴馬ではない」と証明するか。ACC Network Extraで全米に中継される。

Penn State @ Johns Hopkins|BIG10の意地がぶつかる

6位Penn StateがJohns Hopkins大学のホームへ乗り込む。Johns Hopkinsは今週Rutgersに延長2回の末に敗れ、流れを失いかけている。名門復権を狙うHopkinsにとっては、踏ん張りどころの一戦だ。

Virginia @ Duke|勢いそのままに、Dukeの本拠地へ

Notre Dameを下したVirginiaが、今度はDukeのホームへ。Dukeはこの試合の翌週にSyracuseへ乗り込む予定もあり、ACCの序列を決める連戦の入口となる。Virginiaに今週生まれた「信じる力」が、続くかどうか。


Richmondはこの10年、少しずつ積み上げてきたチームだ。華やかなリクルートも、億単位の施設投資もなかった。ただ毎年、チームは強くなった。その積み重ねが、Week 8のポールで初めて「1位」という数字になった。次週、Notre Dameというかつての王者がそれを試す。Richmondの答えを、見届けよう。

※本記事は Inside Lacrosse の記事を参考に作成しています。

Text by ラクロスマガジンジャパン編集部

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