Columnコラム
いよいよ本日から、韓国は済州島にてWORLD LACROSSE MEN’S U20 CHAMPIONSHIPが開幕します。
過去、年齢別の世界選手権大会は19歳以下のカテゴリの世界選手権大会が行われてきましたが、WORLD LACROSSEの改訂により前回大会から年齢制限が20歳以下に引き上げられ、大会が開催されています。(前回大会はCovid-19の影響で21歳以下に引き上げられた)
今大会では、渡航ビザ取得の関係で出場が叶わなかったガーナを除いた19チームが、年齢別の世界の頂点を争います。
WORLD LACROSSE MEN’S U20 CHAMPIONSHIPの歴史
前述の通り、過去年齢別の世界大会は19歳以下のカテゴリとして行われてきたので、ここでは過去の年齢別の大会の歴史について取り上げます。
第1回大会は1988年にオーストラリア・アデレードにて開催され、今年で10回目の開催となります。
過去全ての大会でアメリカが優勝しており、次点としてカナダ、オーストラリア、ホーデノショーニーが争うといった勢力図となっています。
前回大会はアイルランド・リムリックにて21歳以下の世界選手権大会が行われ、日本代表は5位決定戦でイングランドを下し、過去最高の5位という結果を残しました。
過去大会の結果
回 | 年 | 主催 | 年齢区分 | 開催地 | 参加国数 | 優勝 | 準優勝 | 3位 | 日本順位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第1回 | 1988年 | ILF | 19歳以下 | オーストラリア・アデレード | 4 | アメリカ | カナダ | オーストラリア | 未参加 |
第2回 | 1992年 | ILF | 19歳以下 | アメリカ・ロングアイランド | 6 | アメリカ | オーストラリア | カナダ | 6位 |
第3回 | 1996年 | ILF | 19歳以下 | 日本・東京 | 5 | アメリカ | オーストラリア | カナダ | 5位 |
第4回 | 1999年 | ILF | 19歳以下 | オーストラリア・アデレード | 6 | アメリカ | カナダ | イラコイ | 6位 |
第5回 | 2003年 | ILF | 19歳以下 | アメリカ・ボルチモア | 9 | アメリカ | カナダ | オーストラリア | 6位 |
第6回 | 2008年 | ILF | 19歳以下 | カナダ・コキットラム | 12 | アメリカ | カナダ | イラコイ | 7位 |
第7回 | 2012年 | FIL | 19歳以下 | フィンランド・トゥルク | 12 | アメリカ | カナダ | イラコイ | 不参加 |
第8回 | 2016年 | FIL | 19歳以下 | カナダ・コキットラム | 14 | アメリカ | カナダ | イラコイ | 不参加 |
第9回 | 2022年 | WL | 21歳以下 | アイルランド・リムリック | 23 | アメリカ | カナダ | ホーデノショーニー | 5位 |
※ホーデノショーニー:従来フランス語の「イラコイ(Iroquais)」という名称で知られていましたが、2022年5月より名称を自らの 国の言葉である「ホーデノショーニー(Haudenosaunee)」に正式に変更
前回大会5位決定戦:日本 vs イングランド
今大会のブロック・スケジュール
ブロック分け・大会フォーマットについて
今大会はプールAに前回大会の1位から4位のチームが所属し、プールBからプールEについては、「スネークシーディング方式」でプールが割り当てられています。
日本代表は前回大会5位だったため、プールBに所属しています。
Pool A | Pool B | Pool C | Pool D | Pool E |
---|---|---|---|---|
オーストラリア | ガーナ(※) | イングランド | 中国 | ドイツ |
カナダ | 香港(中国) | ジャマイカ | アイルランド | ケニア |
ホーデノショーニー | 日本 | 韓国 | イスラエル | プエルトリコ |
アメリカ | オランダ | ニュージーランド | メキシコ | チャイニーズタイペイ |
※ガーナ代表は渡航ビザ取得の問題により出場を辞退
大会の流れ
今大会は、※コンバインドランキング(Combined Ranking)という方式に則って、予選プールが終わった段階で全体ランキングが作成されます。(プールAは自動で1位から4位となる)
※用語解説:コンバインドランキングとは
予選終了後、各プールで同じ順位になったチーム同士をまとめて成績を比較し、総合順位を決定する方式です。
例:各プール1位同士で総合5〜8位、2位同士で総合9〜12位…というように順位を振り分けます。
比較は以下の順で行います(プール4位は全試合の成績を使用)。
- 勝利数
- 得失点差(1試合最大12点まで)
- 失点数(少ない順)
- 得点数(多い順/プール4位のみ)
- コイントス
異なるプール間での条件差を減らし、公平に順位を決めるための仕組みです。
このコンバインドランキングに基づき、その後に続くプレーインゲームの割り振りが決まります。
トーナメント表
大会スケジュール
日本代表のスケジュール
日付 | 対戦国 | |
---|---|---|
8月15日(金) | 19:10 | vs オランダ |
8月17日(日) | 19:00 | vs 香港 |
8月18日(月) | 19:00 | vs ガーナ(不戦勝) |
見どころは?
日本代表の戦いぶりはいかに
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今大会ベスト4を目標に掲げる日本代表の重要ポイントとなるであろうは、やはり準々決勝の組み合わせです。
コンバインドランキングで5位から8位の順位が決まる以上、プール戦においてはただ勝つだけではなく、「何点取るのか」「点を取られないこと」が重要になってきます。
また、準々決勝進出をかけたプレーインゲームについても、ドイツ、メキシコ、アイルランド、イスラエル、プエルトリコ、ジャマイカといった強豪国と当たる可能性が高く、この1戦も重要な位置付けとなるでしょう。
「SPEARHEAD」というスローガンを掲げ、目標に向かって挑戦し続ける日本代表の選手たちに、注目です。
北米の未来のスターに注目
北米の代表チームにはこれからの世界のラクロスを牽引していく選手が選ばれています。来年のNCAAや、これからのPLLといった未来へ羽ばたく選手に注目です。
米国
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9連覇中の絶対王者。UNCのFO Brady Wambach(2年で431勝、勝率65.5%)や、同じUNCのAT Owen Duffy(ACC新人王、通算133ポイント)など、すでに大学界でトップクラスの選手が名を連ねます。
なかでも注目は、Notre DameのDF Shawn Lyght選手は、大学2年目にして全米屈指のディフェンダーとして高い評価を受けています。2024年にはチームを全米大学選手権優勝へと導き、これまでに通算38GB、13CTOを記録しています。2025年にはACC Co-Defensive Player of the Yearを受賞し、First Team All-Americaにも選出されました。さらに、2024 NCAA Championship All-Tournament Teamにも名を連ねるなど、その実力は折り紙付きです。
カナダ
NCAA強豪校に所属する選手がずらりと揃っています。St. John’s Universityの新人AT、Brendan Marino選手(20G4A)、RITのLSM Logan Fletcher選手(54GB・30CT)など、即戦力の選手ばかりです。
この世代から、2028年ロサンゼルスオリンピックや2年後の世界選手権大会でスターになる選手が現れる可能性は十分あります。北米勢同士の直接対決は必見です。
中米・ヨーロッパの国々にも注目
ラクロスといえば北米ばかりが取り上げられがちですが、実はヨーロッパの国々も力をつけてきています。
アイルランド(プールE)
2024欧州U20選手権優勝国。得点力の高いSean Horkan選手(11G)や、守護神Lochlann McKeever選手(セーブ率58%)らがチームをけん引します。
イスラエル(プールE)
2025欧州男子選手権で初優勝。
メキシコ(プールE)
2016年以来のU20出場です。ディフェンダーのFrancisco Rosas選手は、大学3シーズンで140GB・72CTという驚異的な数字を残しています。
※一部、World Lacrosseの記事を引用、再構成しています。
<ちなみに>
なぜ中米における、プエルトリコや、ジャマイカ、メキシコといったチームであったり、ヨーロッパにおいては、イスラエル、イタリアなどといった国々が近年急速に力をつけてきているのか。
それぞれの国で活躍をしている選手の多くは、実は北米でラクロスをバリバリやっている人が多く在籍していたりします。
先月行われた、ラクロスヨーロッパ選手権では、イタリアとイスラエルが決勝で対戦しましたが、そのチームに所属する選手の多くが、アメリカのNCAAで活躍している選手でした。
中米の国々にも同様のケースが見られており、アメリカやカナダといった名の知れた強豪国ではないからといって、侮ることができない国々が増えてきているのです。
ライブ配信について
WORLD LACROSSE MEN’S U20 CHAMPIONSHIPはその全試合を、WLTVでライブ配信します。(全試合パッケージ/35USD)
日本代表の活躍をぜひリアルタイムで見ましょう!
参考記事