Interviewインタビュー

【Inside JLA コラム】【全クラ1回戦特集④】細やかな勧誘、学生との絆──North AXISの温かく強いチームづくり

日清食品presents第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会 1回戦特集
~各支部のクラブチームってどんなチーム?~

2025年11月8日(土)・9日(日)に行われる「日清食品presents第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会」の第1回戦に出場するのは、北海道、東海、関西、中四国・九州の4支部の優勝チームです。このコーナーでは各支部から出場するチームの見所をお伝えします。

第4回 北海道支部からはNorth AXIS


【North AXIS試合情報】

日時:2025年11月9日(日) 11:00フェイスオフ
場所:テラスポ鶴舞(名古屋会場)
対戦相手:OPEC VORTEX(東海支部)

日清食品 presents 第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会 | JLA | 公益社団法人日本ラクロス協会
1回戦のライブ配信はこちらから(作成中)
1回戦のチケットサイトはこちら(作成中)

※サイト開設後、お知らせいたします(LACROSSE MAGAZINE JAPAN編集部)


北海道支部からは、North AXIS(ノースアクシス)が「日清食品presents第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会」に出場します。どんなチームか、見所はどこかNorth AXISの#7岡田児太朗さんにお聞きしました。

North AXIS集合写真(2025年9月27日撮影)

5大会連続5回目の出場

North AXISが全日本クラブ選手権大会(以下、全クラ)に出場するのは5大会連続5回目。対戦相手も5大会連続で東海支部のチームです。

過去の戦績は「ラクロス全日本クラブ選手権大会 歴代出場チーム」の通り4大会連続1回戦で敗退しています。

【ラクロス全日本クラブ選手権大会 歴代出場チーム 北海道支部(男子)】

クラブ選手権
支部リーグ戦
出場チーム 会場 対戦相手 支部 1回戦戦績
2012 14 1 (Orcinus Orca)
2013 15 2 (SpaceTravelerS)
2014 16 3 (SpaceTravelerS)
2015 17 4 (Orcinus Orca)
2016 18 5 (SpaceTravelerS)
2017 19 6 (SpaceTravelerS)
2018 20 7 (Orcinus Orca)
2019 21 8 (Orcinus Orca)
2020 特 別 大 会
2021 22 9 North AXIS テラスポ鶴舞(名古屋) WOLVES 東海 2-13 1回戦敗退
2022 23 10 North AXIS テラスポ鶴舞(名古屋) WOLVES 東海 1-9 1回戦敗退
2023 24 11 North AXIS テラスポ鶴舞(名古屋) OPEC VORTEX 東海 4-9 1回戦敗退
2024 25 12 North AXIS テラスポ鶴舞(名古屋) OPEC VORTEX 東海 4-7 1回戦敗退
2025 26 13 North AXIS テラスポ鶴舞(名古屋) OPEC VORTEX 東海

※2020年:新型コロナ感染症の感染対策のためにクラブ選手権・リーグ戦とも実施せず。
※「1回戦戦績」欄の得点表記は、北海道支部が左。クラブ選手権のHOME・AWAYではない。
※2012年~2018年は日本クラブチームラクロス連盟未加盟であったため、リーグ戦のみが行われていた。
※2019年に北海道が支部化。
※クラブ選手権への参加は2021年から。
※North AXIS 5大会連続5回目

第13回北海道クラブチームリーグ戦の状況

「まずは、北海道クラブリーグ戦が無事に終了することができてよかったなと思っています」。

North AXIS主将#7岡田児太朗さんは、インタビューの序盤、安堵の言葉を口にしました。

2025年度北海道リーグ戦は、North AXIS(ノースアクシス)、ALC HOOTERS(エーエルシーフーターズ)、LATRANS(ラトランス)の3チームで開催されましたが、開幕前の4月にLATRANSが人員不足で出場が危ぶまれていたというのです。

North AXISとALC HOOTERSの 2チームだけではリーグ戦は成り立たない。全クラへの道が断たれるかもしれない危機がありました。

北海道支部では各大学のOB選手に声をかけ、ALC HOOTERSやLATRANSに入団してもらい、学生チームの協力もありながらリーグ戦を終了させることができました。

リーグ戦開催が、当たり前にそこにあるものではないという経験を北海道支部ではしていたのです。

開幕戦での負けをポジティブに転換しリーグ優勝へ

North AXISは北海道リーグ決勝戦で、リーグ2位通過のALC HOOTERSと戦い、11-4で勝利しました。

開幕戦で8-10と負けたALC HOOTERSを相手に決勝戦では勝利。どのように盛り返したのでしょうか。

「開幕戦の負けをポジティブに捉えようとチームに言ってきました。開幕戦という早いうちに自分たちの悪いところが分かったのだから、決勝戦に向けてリーグ戦で改善していけると思っていました」。

HOMEとAWAYを変えてリーグ戦で再度対戦したときは、9-3とNorth AXISが勝利しました。

ポジティブ変換でチームを導く主将の岡田児太朗さん(#7 G)

人員確保はNorth AXISでも課題

今年(2025年)、人員不足はNorth AXISにとっても他人事ではありませんでした。

「例年、転勤などで1~2人の選手が道外へ行くということはありましたが、今年は4~5人が道外へ行くことになってしまいました」。

North AXISも出場できるかどうかのレベルだったというのです。岡田さんは、この状況ですらポジティブに捉えます。

「新しい世代を入れることができるチームにとっていい転換期だと思うことにしました」。

勧誘するにあたり特に意識したことは、クラブリーグ戦と並行して北海道学生リーグ戦が行われるなか、学生チームと合同練習を行うことで、学生と社会人との接点をしっかり持つようにすることでした。

「学生に自分たちの顔と名前を憶えてもらうことも大事ですが、学生側からすると、社会人に話しかけづらいと思います。自分がそうだったので、社会人側から学生の名前を覚える、プレーのことやそれ以外でもコミュニケーションをこちらから取るということを意識してきました」。

道内卒の選手が多いディフェンス陣

細やかさは本気のしるし

道内の学生チームとのパイプ作りに加えて、今年は「道外勢(どうがいぜい。本州の大学を卒業し、就職で北海道にやってきた選手)」の掘り起こしにも力を入れました。

「今年は、関東地区や関西地区といった本州から北海道へ就職で来る選手とどうにかしてコンタクトを取ろうと意識しました」。

そのなかで分かったことは、新卒で北海道へ来る選手はまずは学生チームの練習へ行くということでした。

今年入部した選手の例で言うと、彼らは北海道大学の練習へ参加していました。北海道大学のインスタグラムを見て、North AXISの選手が「この子たちはだれ?」と学生に問い合わせ、「どこの大学を何年に卒業した選手である」という情報を得ました。

「就職で北海道へ来て、初めての土地でラクロスをやりたくても、どこへ問い合わせたらいいか分からない彼らは、連絡を取りやすい学生チームのほうへ行っていました。クラブチームへコンタクトを取りづらいのであれば、こちらからアプローチしようと思いました」。

道外勢に送るLINEの文言も、突然で失礼がないようチーム内で一度添削にかけるほどに、本気で道外勢と接触をしてきました。

他にも、道外勢から練習に参加しますと返事が来ると、North AXISの選手は車で送迎をしました。

「そこは大前提でやりました。地域柄、車がないと行けないグラウンドもあるので、送り迎えはするようにしていました。練習後には、ごはんへ行こうよと誘ったりもしました」。

練習後のごはんで、前の年に入部していた同じ「2024卒の道外勢」がいることを知った選手からは、その共通点から自分も入ろうと思ってもらえることもあったそうです。

その細やかなコミュニケーションの連続が、結果的に多数の2024卒道外勢の入部に繋がりました。

#42小町一颯さんも2024年卒の道外勢のひとり(武蔵大学OB)

North AXISの北海道内での役割

全クラ1回戦、North AXISはテラスポ鶴舞(名古屋会場)で試合をします。道内の学生に生で全クラを見てもらえない状況は(ラクロスライブの配信はありますが)、北海道地区の発展に影響するものなのでしょうか。

「僕は、North AXISが全クラへ出場するのは当たり前のことだと思いながらラクロスをやっています。

学生リーグ戦であれば、北海道地区で優勝しても、全学ではまだまだ勝てていないのが北海道の現状です。でも、クラブリーグ戦であれば、全クラにおける東海チームとの試合で点差が年々縮まってきているように、『全国で勝てる』可能性がある。勝ちが見えてきているというのが北海道のクラブチームの価値だと思っています」。

岡田さんは、北海道のクラブチーム・North AXISが全国へ行き、そこで勝てる可能性が見えていることこそが、北海道ラクロスの発展になると考えています。

「クラブチームの価値として、北海道学生リーグ戦では対戦相手だった選手や、自分たちより上位だった大学の卒業生の方々と一緒にプレーできるというところもあると思っています。

僕は北星学園大学でプレーをしていましたが、北海道大学や小樽商科大学など他大学の先輩がNorth AXISに所属していて、僕もその先輩方とプレーがしたくて入部しました。真似したいな、自分もこうなりたいなと思える人とプレーできるというのがクラブチームへ入るモチベーションでした。

関東(東日本)なら、KAWASAKI FALCONS(カワサキファルコンズ)やGRIZZLIES(グリズリーズ)など、チャンピオンリーグ1部のチームに全国からトップ層が集まってきます。学生のときから『あのチーム入りたい』と思って切磋琢磨している。

北海道もそうありたいと思っています。トッププレーヤーが北海道へ集まり、North AXISへ入団したいと思ってもらえるような強いチームにしたいと思いながらやっています」。

北海道地区の大学生へのメッセージ

岡田さんから北海道地区の大学生へメッセージをお願いしました。

「North AXIS は学生のころから積み上げてきたものを出せる場所だと思っています。

僕もそうでしたが、北海道学生リーグ戦での優勝や全国大会に手が届かなかった学生でも、クラブリーグであれば全国大会でプレーができるし、全国大会で勝てるかもしれないのが、クラブリーグのよさだと思います。ラクロスというスポーツなので試合の勝敗はありますが、大前提としてラクロスを楽しいと思いながらプレーしてほしいです。

忘れてほしくないのは、ラクロス部に入ったときの気持ちです。ラクロスがうまくなりたいとか、こういうキラキラした先輩のようになりたいと思って入ったと思いますが、それを持ち続けてほしいです。

学生期間である4年間を通して最後まで思い続けられたか、自分がそうなれているのかイメージしながらすごしてほしいなという風に思います」。

北星学園大学3年生のときからゴーリーコーチをし(プロフィール欄参照)、現在では北海学園大学のヘッドコーチをしている岡田さんだからこそ、学生のみなさんへ4年間を大切にというメッセージを伝えたくなるのです。この学生を思う温かさこそが北海道地区におけるNorth AXISの価値なのかもしれません。

そんな温かく強いNorth AXISが出場する全クラ1回戦を、是非ラクロスライブの配信で見てください。

行けるのならば、テラスポ鶴舞へ直接試合を観に行ってほしいです。


【チーム詳細】

【プロフィール】

  • 名前:岡田児太朗
  • 背番号:7 G 主将
  • 出身大学:2023年3月 北星学園大学卒業
  • クラブチーム選手歴:2023年~ North AXIS
  • コーチ歴:
    2021年(大学3年生)~ 北星学園大学(女子)ゴーリーコーチ
    2023年 北海道大学(男子)ゴーリーコーチ
    2024年~ 北海学園大学(男子) ヘッドコーチ

Photo by 日本ラクロス協会広報部 前田浩一
Text by 日本ラクロス協会広報部 岡村由紀子


【前大会記事】

【日清食品presents第25回ラクロス全日本クラブ選手権大会1回戦特集】~各支部のクラブチームってどんなチーム?(北海道支部編)~ | ラクロスマガジンジャパン

この記事が気に入ったら "" をチェックしてね♪

いいね!
読み込み中...

Related Article関連記事

Latest Article最新記事 一覧へ

Feature 特集一覧へ