Interviewインタビュー

2025年11月8日(土)、「日清食品 presents 第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会」1回戦Ardito(アルディート)対ACL(エーシーエル)がオクゼン不動産フットボールスタジアム(県営春日公園競技場)で行われ、9対15でACLが勝利し、準決勝へと駒を進めました。ACLが準決勝で対戦するのは東日本1位のGRIZZLIES(グリズリーズ)です。
【スコア】
| 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | total | |
|---|---|---|---|---|---|
| Ardito | 1 | 3 | 3 | 2 | 9 |
| ACL | 4 | 2 | 3 | 6 | 15 |
【得点者】
| Ardito | ACL |
|---|---|
| # 3 石村旗大 4 | # 0 西濱虎之介 10 |
| # 74 蓮見航太 1 | # 24 西岡俊亮 2 |
| # 4 安達康騎 1 | # 11 浅中佳祐 1 |
| # 7 中嶌友輝 1 | # 5 尼田知裕 1 |
| # 10 松澤伸泰 2 | # 91 平田征継 1 |
1年間やってきたことの答え合わせ
「日清食品presents第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会」(以下、全クラ)1回戦は、前年と同じArdito(中四国・九州)対ACL(関西)の戦い。前年は「日本一」を掲げ挑んだACLが「打倒関西」を掲げたArditoに逆転負けしました。あれから1年、チーム内で意見をぶつけ合ったACLは、やってきたことの「答え合わせ」として、もう一度Ardito戦に挑みます。
1Q はACL優位
(本文中の得点は、HOME対AWAYの並びです)
1Q開始、Ardito主将でフェイスオファーの#7中嶌友輝選手がボールポゼッションし、走り込んでシュートをしますが、ACLゴーリー#2杉本健選手の足元でバウンドし、チェイスでArditoのボールとなると、ゴール裏からの1on1を仕掛けた#3石村旗大選手が先制し1-0へ。
ACLもゴールを狙いますが、Arditoゴーリー#15吉田琉星選手のファインセーブにより、得点がなかなか生まれません。
試合開始7分。#0西濱虎之介選手の1on1でようやくACLが得点。1-1と同点へ。その後、#0西濱選手が続けて3得点し、1-4とACLのリードで1Qが終了します。
2Q は両者得点を重ねる
2Q、立ち上がりのフェイスオフもArditoがボールポゼッション。#74蓮見航太選手からのパスを受けたDF#0寺西匠選手がロングスティックでシュート。これは枠外へと逸れます。
チェイスでArditoがボールポゼッション、#9鞠本鉄平選手がシュートを放つもACLゴーリー#2杉本選手がセーブし、ACLの攻撃へ。
ACL#11浅中佳祐選手が1on1を仕掛けますが、Ardito#74蓮見選手の堅いディフェンスに阻まれ、パスに切り替えます。ACLが大きくパス展開している間にディフェンスの網目を抜けた#0西濱選手が得点(本日5得点目)。1-5と点差を広げます。
Arditoが#74蓮見選手の得点で2-5とすると、ACLは#24西岡俊亮選手の得点で2-6。続くArdito#3石村選手のロングシュートで3-6。両チームとも得点を重ねます。
このシュート後、これまで数々のファインセーブをしてきたACLゴーリー#2杉本選手が負傷退場。#8吉田大将選手へ交代します。
残り2分。ACL#5尼田知裕選手が1on1を仕掛けるも、ArditoのDF#0寺西選手のチェックでArditoボールへ。Ardito#10松澤伸泰選手がゴール裏から1on1を仕掛け、ACLディフェンスに2枚付かれたところで、ゴール前でフリーとなった#4安達康騎選手にパス。#4安達選手が力いっぱいゴールへ叩き込み4-6とArditoがACLを追い上げますが、ACLの2点リードで2Qは終了します。
3Q でArditoが逆転するもACLがまた逆転
3Qでは、ArditoがACLに逆転する場面もありました。
Ardito#3石村選手が連続で2得点(本日4得点目)、6-6の同点とすると、続いて#10松澤選手も得点、7-6と逆転します。
前大会4Q残り5分の逆転劇が頭をよぎりますが、この1年で組織として強くなったACLは反撃。#24西岡選手の本日2点目のシュートで7-7。
さらにACLのパス回しで空いた#0西濱選手へすかさず#24西岡選手がパス。#0西濱選手が得点し7-8とACLが再びリード。
ACLの攻撃は続きます。LMF#3今村元気選手がロングスティックでシュートすると見せかけて、#11浅中選手へパス。#11浅中選手が得点し7-9へ。ACLが2点リードで3Qは終了します。
4Q Arditoが追い上げるもACLが逃げ切った
4Q、ArditoのクリアミスでダウンしたボールをACL#0西濱選手がスクープ。ゴーリーのいないゴールへシュートを叩き込み、本日7得点目となる得点で7-10へ。
ACLがディフェンスのファールによりマンダウンとなると、Ardito#7中嶌選手が得点、8-10。続けて#10松澤伸泰選手が得点し、9-10とArditoが追い上げます。
フェイスオフではACL#31山本真也選手がマイボールにし、攻撃のチャンスを作っていきます。
残り5分、チェイスでACLボールとした#0西濱選手がゴール裏からの1on1。ArditoのDF#24松本幸大選手と共に倒れ込むほど勢いのあるシュートで9-11へ。
この得点後、西濱選手のスティックに対し、Arditoからスティックチェック申請が出ましたが、合法と認められ得点は有効。ACLは3分間のエキストラマンオフェンスを獲得します。
その後もACL#0西濱選手は連続で2得点し(本日10得点目)、9-13へ。
ACL#16佐山選手がボールラインを上げると、ゴール前でディフェンスを外しフリーとなった#5尼田選手へパス。尼田選手が得点し9-14。
4Q最後となるフェイスオフは、Ardito#7中嶌選手がボールポゼッション。自ら走ってシュートを放ちますが、ACLゴーリー#8吉田選手がセーブ。クリアをACL#91平田征継選手がセンターラインでキャッチ、ハーフコートを一人で走り抜け得点。9-15で試合は終了。ACLが勝利し、準決勝進出を決めました。
10得点したACL#0西濱虎之介選手
2025年11月8日 Ardito対ACLの見逃し配信はこちら
やってきたことがようやく実った
本日10得点した#0西濱さんは、2025年10月26日の関西リーグ決勝戦では得点がなく、ACL全体で見ても3得点とロースコア。今回の大量得点は、何かを変えた結果なのでしょうか。
「去年Arditoに負けてから、オフェンス陣はとても揉めたんです」。
西濱さんは振り返ります。
去年の全クラ1回戦のArdito戦では、4Q残り5分でArditoに続けて2得点され、逆転負けを喫しました。
「あのとき、試合中に全員で大げんかしていたんです。『パス出せよ』とか『違うだろ!』とか。ものすごく雰囲気が悪かった」。
ACLにとって最悪の結果を受けて、このままではいけないと、「練習にも行きたくない」(#16佐山さん)ほどの意見のぶつけ合いを1年間続けてきました。
「オフェンス陣は、それぞれやりたいことが違ったんです。それを、アタックリーダーの#5尼田を中心にみんなで作っていこうと決めました。
正直、チームで決めたプレーは僕にとってはとてもやりにくいものでした。自分は球持ちを長くして得点することが多かったのですが、今のACLは球離れが早いプレーが求められます。球離れを早くすることで、(ディフェンスを)ずらして、ずらして、得点する。今年やってきたことが、ここに来てようやく実を結んだんです」。
オフェンスをまとめるのに苦労をしたATリーダー#5尼田知裕選手
西濱さんがいう「ここに来て」の「ここ」は、本当に今しがた終わったばかりの全クラ1回戦のことでした。
「今日は、初めから僕が調子いいのをみんなが察していました。オフェンス陣の共通認識として、フィニッシュを僕に設定してくれたので、今回はたまたま僕が大量得点をしました。いつでも僕というわけじゃなく、フィニッシュのポジションは誰でもなりえるんです。そういうオフェンス作りを1年掛けてしてきました」。
オフェンス陣がディフェンス陣を語ってみる
「失点してもオフェンスが取り返せばいい」。
西濱さんは、去年まではなかった発想ができるようになりました。
昨年までACLに所属していた立松侑悟さん、三浦和輝さん、道浦真明さんという関西のスター選手だったディフェンス陣が移籍しACLから離れました。
「メンバーが入れ替わったのにディフェンスががんばってくれた。関西リーグ戦では今シーズンの方が、失点数が少ないという結果も。だから、オフェンスの得点が少なくてもACLは勝てた。自分たちが決め切れないとき、ディフェンスが守ってくれた。だったら、ディフェンスが失点したときは自分たちが点を決めればいい。ディフェンスとオフェンスは、互いに信用し支え合えるようになりました。大成長です。去年はディフェンスのことはなんも考えてなかった。なんで止めへんねんと内心責めたりしていました」(西濱さん)。
答え合わせは合格点
主将の#16佐山さんは、試合直後「答え合わせができました」とほっとしたように言いました。
「(今日のArdito戦は)合格点だと思います。自分たちのスタートは去年の敗北。そして、自分たちのゴールはあと二つ勝つこと。今日の勝利で、進んでいる道は合っていると思えました。そういう意味では合格です。あと二つ勝つというゴールは、その場所へ行かないと分からない。でも、確実にこの道で合っていると思えました」。
一人ひとり役割を果たすことがチーム力を高めた
佐山さん自身、プレーでは、1Qで#0西濱さんへ、4Qで#5尼田さんへアシストし、2得点に絡みました。
「個人の成績は気にしないです。チームが勝てばいい。今年は与えられた役割を果たすことが大事だった。優先することは『チームがやろうとしていること』を実現できるかどうか。
アシストは、僕の強みであり、特徴であり、積み上げて来たものです。でも、自分本位で投げるのは違う。自分の強みをチームがやろうとしているところへ当てはめる作業を今年は大事にしました。
それはみんなも同じで、『チームでこうする』というプレーを実現するために自分の持ち味を当てはめる作業をしてきました。それができるようになったから、スポーツチームとして強くなったんだと思います。去年からいたメンバーは成長を感じているはずです」(佐山さん)。
関西リーグ決勝戦はまだ掴み切れていなかった
西濱さんは、関西リーグ決勝での残り7秒を振り返ります。
「残り7秒でACLは対戦相手のGOLD ZEALER(ゴールドジーラ)に2-3で負けていました。去年までのACLなら勝てていなかったと思います。今年は試合中に笑顔があった。だから、『まだある』と思えた。そんなときは佐山さんに託すと決めていた。それで、佐山さんからのパスで#26藤井直樹選手が決め切った。この一年、あれほどチームが一つに向かったことはなかった。チームがポンって成長した瞬間だと思えました」(西濱さん)。
それでもまだ関西リーグ決勝戦では完全には掴み切れていない感覚があったと西濱さんも佐山さんも言います。本日のArdito戦3Qでは逆転されるシーンも
「『やばい』と思ったけれど、ACLは強くなった。みんなの役割がぶれなかった。やるべきことをやったから取り返せた。この1年間、もみくちゃになって苦しんで徹底して作り上げたものはそうそう潰れないんだと思いました」(佐山さん)。
ゴーリーの師弟関係
2Qで#2杉本さんが負傷したとき、#8吉田さんが急遽ゴールに立つことになりました。吉田さんは杉本さんの教え子。去年まではACLゴールを守っていましたが、師匠である杉本さんがACLへ移籍してきたことで、関西リーグ戦へ出場する機会が減りました。
「(Ardito戦には)もともと4Qから入るつもりで準備はしていました。杉本さんから、得点が入り出して早くアウトするかもしれないと言われたけれど、イレギュラーなタイミングでの出場になりました。押されているところからの出場で難しかったけれど、とにかく止めよう、ファーストセーブだけ集中してやろうという気持ちでいました」(吉田さん)。
準決勝GRIZZLIES戦に向けて
次のGRIZZLIES戦ではどんな答え合わせになるのか。新たな楽しみができました。
「自分たちが自分たちらしくいれるかどうかが大事だと思っています。今日は自分たちがしようと思ったことがうまくいった。ここから準決勝までの3週間、チームとして一つ越えた証を継続できるかどうか。
対戦するGRIZZLIESは日本ラクロスを牽引し、全員から勝つと思われているチームです。そんなチームにACLが勝つにはどうしたらいいか。
GRIZZLIESはラクロスの進化に日本一早く対応するチームだし、まとまっているし、選手の体は大きいし、速いけど、どんなチームでも弱点がある。逆に自分たちの強さがある。びびらずに自分たちがやってきたことを出すこと。チームとして個人として体現するベースはできたから、それを60分間出せるかどうかが本当の答え合わせだと思います」。
ベンチからは『ええやん、ええやん』という声が聞こえます。
2012年、楽しくラクロスをするためにACLは誕生しました。ACLがこの一年で築き上げた「自分たちらしさ」と創部理念「ラクロスを楽しむ」を繋げてGRIZZLIESと戦います。ACLの答え合わせをヤンマーフィールド長居で一緒に見てみませんか。
会場へ行けないみなさんは、ライブ配信をご覧ください。
【準決勝(大阪会場)試合情報】
- 日時:2025年11月29日(土) 11:00フェイスオフ
- 場所:ヤンマーフィールド長居(大阪府大阪市)
- 対戦カード:GRIZZLIES(東日本1位クラブ) vs ACL(関西クラブ)
- チケット発売ページ
- 配信ページ(作成中)
Photo by 日本ラクロス協会広報部 小保方智行
Text by 日本ラクロス協会広報部 岡村由紀子







