Interviewインタビュー

日清食品presents第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会 準決勝戦 大阪会場レポート~攻め続けることでつかんだ勝利~
| チーム | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 計 |
|---|---|---|---|---|---|
| NeO | 2 | 2 | 4 | 3 | 11 |
| NLC SCHERZO | 2 | 2 | 1 | 0 | 5 |
| チーム | 背番号 | 選手名 | 得点数 |
|---|---|---|---|
| NeO | 3 | 山根萌奈 | 2 |
| 5 | 河合寧々 | 1 | |
| 6 | 多賀麻文 | 2 | |
| 8 | 細田すず乃 | 2 | |
| 21 | ジョーンズ萌仁香 | 2 | |
| 24 | 小林千沙 | 2 | |
| NLC SCHERZO | 7 | 大濱美優 | 1 |
| 17 | 平井花林 | 2 | |
| 34 | 藤原万里子 | 2 |
1Q はNLC SCHERZOの立ち上がりからペースをつかむ
(本文中の得点は、HOME対AWAYの並びです)
1Q最初のドローは、NeO#24小林千沙選手とNLC SCHERZO#29小原日和選手により行われ、NeO#24小林選手が自身でポゼッションし試合はスタート。
先制したのは、NeO#24小林選手。試合開始3分半でフリーシュートを与えられ、1on1で得点し、1-0へ。
「立ち上がりが課題」としていたNLC SCHERZOは、開始9分にリストレイニングラインあたりから1on1で走り込んだ#7大濱美優選手が得点し、1-1同点へ。続く若手エース#17平井花林選手が、逆サイドゴール裏にいた#29小原選手からのパスを受け、1on1で走り込み強気のシュート。確実に決め1-2とリードします。
その後もNLC SCHERZOがボールポゼッションし、パス回しや1on1でゴールを狙いますが、NeOディフェンスの守りが堅く得点できません。
残り2分を切ったところで、NeO#21ジョーンズ萌仁香選手がゴール裏からの1on1で得点。2-2と同点にしたところで1Q終了。
NLC SCHERZO#17平井花林選手
2Qの1得点目をNLC SCHERZOが上げるも、同点で終了
2Q最初のドローは、NeO#9庄島未祐選手とNLC SCHERZO#29小原選手。グラウンドボールをスクープしたのはNeOですが、両者決め切れずターンオーバーを繰り返します。
開始3分。ダブルディフェンスで詰められたNLC SCHERZO #16川崎あかり選手が二人の間を華麗にすり抜け、ゴール前にフリーで待つ#17平井選手へパス。平井選手がゴーリーとの1on1も落ち着いて決め2得点目、2-3と再びリード。エースの風格を見せつけます。
ドローはNeO#24小林選手に戻ります。その小林選手がフリースペーストゥゴールの侵害でフリーシュートが与えられると2得点目を上げ3-3へ。
ここで、NLC SCHERZOゴーリーが#11竹本萌香選手から#4富田真世選手へ交代します。富田選手は4本連続でシュートを止め、NeOの攻撃を封じると、NeOも堅いディフェンスでNLC SCHERZOの攻撃を封じ、両者得点がないまま過ぎた残り1分。大きくパスを回すことでチャンスを狙っていたNLC SCHERZOに得点が生れます。NeOディフェンスを背に受けながらゴール前にインした#34藤原万里子選手へ#14松田阿布羅選手がパス。藤原選手が倒れ込みながらも確実に決めて3-4。
このままNLC SCHERZOリードで終わると思った残り30秒。ドロー時、NLC SCHERZOの選手が揃わず、NeOボールでスタート。パス回しでチャンスを作るNeOは、ゴール横、ほぼ0度の位置で待つNeO#6多賀麻文選手にパス、#6多賀選手がシュートを決め4-4と同点としたところで2Q終了。
NLC SCHERZOゴーリー#4富田真世選手とNeO#21ジョーンズ萌仁香選手
3QにNeOが本領を発揮し始める
3Q開始3分、ダブルチームディフェンスに付かれたNLC SCHERZO #14松田選手が二人の間にできた隙間を抜けてゴールへと向かいます。ゴール裏からフリーで出てきた#34藤原選手へパス、ベテラン藤原選手が2得点目を決め4-5とし、再びNLC SCHERZOがリード。
なお、藤原選手の2得点目も#14松田選手からのパスによって生まれており、新旧エースのコンビネーションが冴えます。
NLC SCHERZOゴーリー#4富田選手のセーブにより、NeOが得点できず過ぎた開始8分、NeO#8細田すず乃選手がクリースの際でディフェンスを背に受けたままシュート。最後は勢いで倒れ込みましたが、ボールはきれいにゴールへと吸い込まれ、5-5と同点へ。
開始12分では、フリーシュートを与えられたNeO#7星井瞳子選手から、ゴールライン上にフリーで待つ#3山根萌奈選手にパスが渡り、山根選手が角度のないところからシュート。NLC SCHERZOの危機を何度も救った#4富田選手でも止めることができず得点。6-5とNeOがリード。
残り1分を切ると、NeOゴーリー#66内田妃那選手のインターセプトから前へ前へと繋がるパスで、最後はフリーとなってゴール前にいたNeO#3山根選手が2得点目を放ち7-5。更に、前へつなぐパスで、NeO#6多賀選手にパスが渡り1on1でシュート。8-5としたところで3Q終了。
4Qは終始NeOペース
4Qに入ると、ますますNeOペースへ。開始1分でNeO#8細田選手が2得点目を放ち9-5とすると、6分には#5河合寧々選手が10-5へ。
NLC SCHERZOのチームタイムアウト後も、NeOがドローを取り攻撃をしかけます。
NLC SCHERZO#4富田選手のセーブによりチャンスを伺うなか、開始12分にNeOオフェンスによる頭部へのデンジャラスチェックで、2分間のマンアップを与えられます。しかし、NLC SCHERZOのパスミスによりチャンスを活かせず、NeOポゼッションのまま解除。
残り2分の合図と同時に、NeO#21ジョーンズ選手が得点し11-5へ。4Q終了。NeOが勝利し決勝戦へ進出です。
2025年11月29日NeO 対 NLC SCHERZOの見逃し配信はこちら
後半は攻め続けることを大事にした
3連覇6回目の日本一を目指すNeOですが、前半は4-4と自分たちのペースでプレーできませんでした。後半に7-1(合計11-5)と盛り返しましたが、前半と後半とで何を変えてきたのでしょうか。NeO主将#56古井采那さんにお聞きしました。
「前半は様子を見てしまって相手のペースに飲まれている部分がありました。後半は、戸惑うことなくボールと人が動き続けられるよう修正しました。まず、オフェンスは攻め続けることを大事にしました。3Qの途中でぽんぽんぽんとブレイクが続くシーンが生れたのは、とめどなく攻め続けたからだと思っています」。
試合後、応援席に挨拶をするNeO主将#54古井采那さん
ディフェンスの修正はグラウンドボール
ディフェンスはどうだったのでしょうか。
「前半一人ひとりで守っていたとき、せっかくグランドボールになっても、拾う時にファールを取られてまた相手ボールになることが多かったので、後半はできるだけ2枚人数をかけてノーファールでグラボを取り切ろうと修正しました」。
4Qで西日を味方につけた
NLC SCHERZOゴーリー#4富田真世さんのセーブでなかなか得点できないシーンもありましたが、その対策はされたのでしょうか。
「シュート本数をかなり撃っていたので、早めに分析して入りそうなところを共有し、共有したところに撃つというのはやりました。あと、4QはNLC SCHERZOゴーリーにとって西日を受けるポジションだったこともNeOの得点に繋がったところはあります」。
3Qでは西日により、NeOオフェンスがゴール前で何度かボールを落とすシーンもありました。
「西日については、コミュニケーションの修正が必要でした。3Qまでその修正をせずに来てしまった。4Qでようやく、『まぶしいのでパスを出さないで』というジェスチャーをすることで、キャッチミスを防ぎました」。
全クラ準決勝の意味
日本代表選手を多く抱え、「世界で戦えるチーム」を目指すNeOですが、全クラ準決勝は自分たちにどのような意味があると考えているのでしょうか。
「関東にいると同じチームとばかり戦うことになるので、全クラ準決勝で関西や九州のクラブチームとの試合ができるということは、新しい自分たちのプレーを探すチャンスになると思います。世界の中にもいろんなバリエーションのチームがあるので、その都度その都度対応しなければなりません。いつもと違う経験は必要だと考えています」。
今シーズン3度目のMISTRAL戦で意識すること
全クラ決勝戦の対戦相手は、東日本チャンピオンリーグ戦、同決勝戦と既に2回対戦しているMISTRALです。今シーズン3度目の戦いですが意識していることは何でしょうか。
「3度目と言えども、試合ごとに流れが違うので、常に相手の新たな情報を得て、スカウティングする必要があります。決勝戦は何があるか分からない舞台なので、しっかりと泥臭く自分たちのラクロスができればいいのかなと思います」。
「関西から日本一」ならず
応援席に挨拶をするNLC SCHERZO主将#9新海美波選手
NLC SCHERZOは全クラ準決勝敗退で、今シーズンが終わりました。主将#9新海美波さんに、チームとして目指して来たものを振り返ってもらいました。
「『日本一』という目標があるなかで、毎年この準決勝は大きな山場です。2025年度のチーム立ち上げ時から、準決勝で勝ち、決勝につなげるということを意識し、調整してきました。準決勝に向けて、オフェンスもディフェンスもたくさん戦術を用意していて、これまでミーティングや練習で詰めてきていたので、後は今日、それをどの場面で出すか、精度を高くできるかを全員で意識してやってきました」。
ドローの情報を共有
ドローを上げるNLC SCHERZO#29小原日和選手
NLC SCHERZOドローは、ほとんど#29小原日和さんによって上げられています。準決勝でのドローについてお聞きしました。
「チームミーティングで、NeOのドロワーが3人いることや、それぞれの特徴や順番など全員で刷り合わせてきました。『ここに飛ばそうとしているよね』とか『このドロワーにはこう付く』など全員ですり合わせてきました。準決勝では相手に取られることが多かったですが、落ち着いてプレーできたと思います」。
前半、NLC SCHERZOペースだったのはいい意味で想定外
「自分たちが想定していたのは、前半に点差を開けられても絶対に食らいつくぞという想定だったので、いい意味で想定外でした。前半1Qと2Qのあとは、いまはすごくいい試合の流れだから落ち着いて、やってきたことを出そうと全員で言っていました」(#9新海さん)。
「NLC SCHERZOは、この1年間を通して『立ち上がり』が課題だったので、一人ひとりが強い気持ちで試合に臨んだ分、いい意味で考えていたゲームプランにこだわらなかった。1点目のいる(#7大濱美優さん)も、本来であれば、1点目を取る選手じゃないけれど、自分のタイミングで点を取った。相手も意表を突かれ、動揺も誘えたから、自分たちに流れを持って来れたんじゃないかと思います」(#29小原さん)。
この一戦から、どんな来シーズンを見るのか
#9新海さんも#29小原さんもNLC SCHERZO入部4年目の同期。これからを担う選手がNLC SCHERZOの目指す「関西から日本一」をどう捉えているのか、この一戦から感じた手ごたえについてお聞きしました。
「ここ何年も、(準決勝の)前半同点で終わるとか、競るような試合展開になるとかなかったので、長く続けているメンバーが多い分、積み重ねているものがあるんだなと思いました。去年の準決勝では、後半にうまくいったので、初めからこういう試合展開ができていたら勝てていたという反省が出て、今年は前半うまくいきました。(試合が終わったばかりで)来シーズンどうするかまだ分からないけれど、『関西から日本一』を目指すチームというのをつないでいきたいので、今日の試合を通してこれから全員で考えていこうと思います」(#9新海さん)。
「今年の10月初めにNeOと試合をしたときは1-17と大差で負けました。何もできない状態だったのが、今日、点差も抑えて、かつ点を取りに行けたというのは、修正がしっかりできて、次に生かせた結果だったんじゃないかなと思います。
関東のトップチームは人数も多いけれど、自分たちの強みは、パスラクロスです。メンバーが少数だったとしても全員がつなぐであったり、全員で1点を取るであったりという力は全国的にみても長けていると思っています。そこをしっかり伸ばしていければ来年度以降、勝てると思っています」(#29小原さん)。
全クラ決勝戦は日本ラクロス最高峰の戦い
全クラ決勝戦は、どちらも日本代表を多く抱えるNeO(東日本1位)とMISTRAL(東日本2位)の対戦です。日本ラクロスの最高峰の試合を見るチャンス! 是非とも会場へ足を運んでください。
会場へ足を運べない皆様にはライブ配信もありますので、そちらをご覧ください。
【決勝戦 試合情報】
日時:2025年12月13日(土) 14:00ドロー
場所:大井ホッケー競技場メインピッチ(東京都品川区)
対戦カード: NeO(東日本1位)対 MISTRAL(東日本2位)
テレビ東京スポーツYoutubeチャンネル
「テレスポ」で決勝戦のライブ配信決定!

テレビ東京スポーツYouTubeチャンネル「テレスポ」にて
12月13日(土)決勝戦を無料ライブ配信
配信スケジュール
🏆 男子決勝戦 11:00 フェイスオフ
GRIZZLIES(東日本1位) vs KAWASAKI FALCONS(東日本2位)
🏆 女子決勝戦 14:00 ドロー
NeO(東日本1位) vs MISTRAL(東日本2位)
テレビ東京アナウンサーによる実況に加え、タレントの照英さん、まるぴさんをゲストにお迎えし、豪華体制でお届けします。2026年女子世界選手権、2027年男子世界選手権、2028年ロサンゼルスオリンピックへと続くラクロスムーブメント。日本代表候補も多数出場する頂上決戦をお見逃しなく!
※テレスポ配信は東京都及び公益財団法人東京都スポーツ文化事業団の協力により実施
Photo by 日本ラクロス協会広報部 中村真澄
Text by 日本ラクロス協会広報部 岡村由紀子











