Interviewインタビュー

2025年11月24日(月祝)、「日清食品 presents 第16回ラクロス全日本大学選手権大会」女子準決勝 日本体育大学(関東リーグ戦1位) 対 南山大学(東海リーグ戦1位)が東京都品川区・大井ホッケー競技場メインピッチで行われ、16対2で日本体育大学が勝利し、決勝へと駒を進めました。日本体育大学が決勝で対戦するのは、関西学院大学(関西リーグ戦1位)です。
【スコア】
| 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | total | |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本体育大学 | 3 | 4 | 4 | 5 | 16 |
| 南山大学 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 |
【得点者】
| 日本体育大学 | 南山大学 |
|---|---|
| #26 人見リカ 5点 | #27 古庄琴音 1点 |
| #10 川内ほのか 3点 | #59 鈴木未來 1点 |
| #54 呉屋花音 2点 | |
| #13 隅田かのか 1点 | |
| #20 高知尾日陽 1点 | |
| #40 岡田怜奈 1点 | |
| #51 岡澤美侑 1点 | |
| #65 小林和可 1点 | |
| #78 遠藤海花 1点 |
“2大会ぶりの日本一”の日体 vs “打倒関東”の南山
「日清食品presents第16回ラクロス全日本大学選手権大会」(以下、全学)女子準決勝は、今年度の関東FINALから全学1回戦でも圧倒的な強さで進んできた日本体育大学(以下、日体)と、1回戦を大差で勝利し勢いに乗る南山大学(以下、南山)の戦い。2大会ぶりの日本一に燃える日体か、前回大会で敗北を喫した関東相手に燃える南山か、両者の意地がぶつかり合う。
1Q 日体が圧倒的な攻撃力を見せる
(本文中の得点は、HOME対AWAYの並びです)
1Q開始、南山の#2中川知咲選手がドローを制しオフェンスに繋ぎますが、試合開始直後の固さからか攻めきることができず、日体ポゼッションへ。すると、左横から1on1を仕掛けた#65小林和可選手が南山DFを置き去りにして、シュートを決めます。
続けて開始5分にフリーシュートの機会を得た日体#20高知尾日陽選手が得点すると、2-0と南山を突き放します。
南山もゴーリー#65山下佳那子選手のファインセーブや#17辻和佳奈選手のパスカット等で防ぎオフェンスへ繋げますが、日体の堅い守りに得点することができません。
開始11分。#10川内ほのか選手の1on1で日体が追加点をあげて3-0とさらに南山を突き放します。その後、南山の反撃も得点までは及ばず3-0と日体のリードで1Qが終了します。
2Q 南山が反撃を見せた
2Q立ち上がりのドローも日体がボールポゼッション。#10川内ほのか選手や#20高知尾日陽選手を中心にOFを組み立てると、クリア後その#10川内ほのか選手からパスを受けた#26人見リカ選手がそのままシュートを流し込み4-0。そして開始5分・6分と、そのまま立て続けに#26人見選手がなんと3連続得点して6-0。フルフィールドオフェンス・1on1・素早いパス回しからの得点と、3点とも異なるパターンで得点しており、日体OF陣の攻撃パターンの多さが伺えます。
対する南山もゴーリー#65山下佳那子選手がファインセーブを見せて反撃に転じますが、なかなか日体ゴールには届きません。すると開始8分、DFを引き寄せた日体#10川内ほのか選手の1on1から#54呉屋花音選手へパスが渡り、そのまま相手DFを上手くかわしてシュート。これが決まり7-0と日体も攻撃の手を緩めません。
さらにここから日体OFの時間が長く続きますが、南山がこれを粘り強く凌ぐとQ残り1分で反撃に出ます。
1回戦で先制点をあげた#59鈴木未來選手を中心にOFを組み立てると、残り30秒でフリーシュートの機会を取得します。これを#27古庄琴音選手が日体DFの激しいマークを受けながらも何とかゴールへ流し込み、南山にとって待望の1点目を獲得します。この得点で南山サイドはスタンドも含めて今日一番の盛り上がりを見せます。
そしてこのままQが終了し、7-1と日体の6点リードで試合前半が終了します。
3Q 攻撃の手を緩めない日体
3Qのドローは南山が競り勝ち、OFに繋げます。
南山は#2中川知咲選手・#27古庄琴音選手・#59鈴木未來選手らが立て続けにシュートを放ちますが、日体ゴーリー#94吉川凛選手のファインセーブもあり得点できません。
すると開始5分、日体#13隅田かのか選手・#40岡田怜奈選手が2on2で相手DFを崩すと、そのまま#40岡田選手が得点して8-1とします。不利な体勢からパスをしっかりと通して得点し、ここでも日体の技術の高さが伺えます。
得点した日体#40岡田怜奈選手
続く開始6分にも#10川内ほのか選手から中へカットインしてきた#51岡澤美侑選手へパスを通し、そのまま得点して9-1と南山を引き離します。
その後は双方ともにオフェンスの機会を得ますが、日体ゴーリー#94吉川凛選手・南山ゴーリー#25中山いずみ選手と両チームのゴーリーのファインセーブもあり得点が生まれない時間帯が続きます。
試合が動いたのはQ時間残り2分、右サイドから1on1を仕掛けた日体#78遠藤海花選手が中へ切り込んでランニングシュートを放ち得点。続く残り1分にも同じ形で#10川内ほのか選手が得点(本日2得点目)し点数を重ねます。
そのままQ時間が終了して11-1と日体の10点リードで最終Qを迎えます。
4Q 圧倒的な強さを見せた日体が決勝へ駒を進めた
4Q開始のドローは日体が制すと、その後開始3分、日体#26人見リカ選手が第2Qで得点した1on1と同じ形で本日4得点目とします。
このままでは終われない南山は開始5分、フリーシュートの機会を得ると#59鈴木未來選手が力強いシュートをゴールに突き刺して得点。12-2と何とか点差を縮めようとします。
一方で、日体も攻撃の手は緩めません。開始6分、#26人見リカ選手が本日5得点目となるシュートを決めると、開始11分には#10川内ほのか選手(本日3得点目)、試合時間残り1分には#13隅田かのか選手・#54呉屋花音選手(本日2得点目)が得点して16-2とし、この日のビッグクォーターを最終Qで作り出します。
対する南山は、#25中山いずみ選手や#65山下佳那子選手の両ゴーリーのファインセーブもあり最後まで粘りを見せますが、そのまま16-2で試合は終了。圧倒的な強さを見せた日本体育大学が勝利を収め、決勝へと駒を進めました。
2025年11月24日 日本体育大学 対 南山大学の見逃し配信はこちら
当たり前のことを当たり前にできた試合
試合を振り返って、日本体育大学の隅田主将が口にしたのは「当たり前」の重要性でした。
「当たり前のことを当たり前にできることがうちの強みです。それができなければ、逆に弱みにもなる。今日の試合は、全員がグラウンドボールに徹底してこだわれたことが良かったです。」
主将が真っ先に挙げたのは、華やかな得点シーンではなく”グラウンドボール”でした。五分のボールをどちらが拾うか――その積み重ねで試合の流れが決まることをチーム全員が理解していると言います。続けて、その“当たり前”が試合だけで作られているわけではないと隅田主将は語ります。
主将#5隅田かのか選手
「練習でグラボをちょっとでもサボると、それがそのまま試合に出ます。だから練習から周りと声をかけ合って、グラボ一つ一つの強度を落とさないことを大事にしています。」
日常の一つひとつのプレーに妥協しないこと。それが日体ラクロスを支える土台になっています。
主将が定義する「日体らしさ」
「相手に合わせすぎず、自分たちのやるべきこと・やりたいことをやろうと話していました。試合開始から、それを全員で体現すること。そこで“日体らしい強さ”を出そうと意識していました。」
相手の出方をうかがうのではなく、自分たちのリズムを自分たちから作る。その姿勢が日本体育大学における試合の入りの強さを形成しています。今日の試合でも、1Qから主導権を握っていました。
また、隅田主将は今年の”日体らしさ”をこう定義します。
「ひとりひとりが持っている高い個人技術を、パワフルにぶつけていくラクロスです。目の前の相手との1対1の勝負にこだわり続ける。その1対1の積み重ねが、結果としてチームの強さになる――それが“日体らしさ”だと思っています。」
1対1で負けないこと。そのシンプルなこだわりが、“日体らしさ”の核になっています。
全日本大学選手権大会優勝への意気込み――「新しい日体で日本一にふさわしいチームへ」
日本体育大学の目標は”全日本選手権大会優勝”ですが、隅田主将はまずは全日本大学選手権で優勝することを見据えていました。
「学生日本一は自分たちの目標にとってはあくまで通過点です。ただ、まずはそこをしっかり獲りにいきます。決勝までの残り1カ月で日体ラクロスをさらに磨き上げて、日本一にふさわしいチームとして勝ち切りたいです。良い意味で“今までの日体らしくない日体”にもなりたい。自分たち自身をアップデートしたうえで、『やっぱり日体は強いよね』と言われるチームで決勝に臨みたいです。」
「当たり前」を極めた先にある、新しい日体の姿。その答え合わせが、この先の全日本大学選手権大会決勝で行われます。
本日5得点をあげた#26 人見リカ選手
1年生ながら本日5得点をあげた人見選手ですが、そのうち3得点が1対1を勝ち切ったうえでのゴールでした。本日の得点について、人見選手はこう言います。
「自分は2Qからの出場で、自分があのエリアでボールを持ったら1対1を仕掛けると決めていました。普段はサイドからの1対1が多いんですけど、今日は上から攻める形がうまくはまってくれました。」
自分の得意な形を、相手や状況に応じて微調整しながら出す。隅田主将も語った「日体らしい1対1」の一つの完成形が、この日のプレーでした。
強さの源泉――ハードな練習と泥臭さ
人見選手に限らず他の選手も1対1やパス、フィジカル、アジリティ等の能力が凄まじい印象ですが、その強さの源泉はどこにあるのでしょうか。
「練習の強度がとにかく高いことです。1日練習したら、全力で回復に徹したとしても次の日まで疲れが残るくらいの強度では取り組んでいます。それに加えて、グラウンドボールに最後まで食らいつくことや泥臭いプレーを絶対にやめないこと。その積み重ねが、試合での1対1の強さや、ここ一番の勝負強さに繋がっていると思います。」
主将の言葉と同じく、人見選手も「グラボ」と「練習強度」を迷わず挙げました。“派手なゴール”の土台は、やはり地道な積み重ねにあります。
「もっと活躍できる自分に」――次戦に向けた意気込み
人見選手は次戦に向けてこう意気込みます。
「1対1以外にも、やれることはたくさんあると思っています。アシストだったり、周りを生かすプレーだったり。この1カ月でそこをしっかり練習して、次の試合ではもっとチームに貢献できるように頑張りたいです。」
“点を取る選手”から、“チームを動かす選手”へ。人見選手の次の一歩が、“新しい日体”の進化をさらに加速させていきそうです。
【決勝(東京会場)試合情報】
- 日時:2025年12月21日(日) 11:00 ドロー
- 場所:スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場)
- 対戦カード:日本体育大学(関東学生1位) vs 関西学院大学(関西学生1位)
- チケット発売ページ
- 配信ページ(作成中)
Photo by 日本ラクロス協会広報部 海藤秀満/日本学生ラクロス連盟東日本支部広報委員会
Text by 日本ラクロス協会広報部 小田悠人





