Interviewインタビュー

日清食品presents第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会 準決勝戦 大阪会場レポート~「関西から日本一」は引き継がれていく~
| チーム | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 計 |
|---|---|---|---|---|---|
| GRIZZLIES | 4 | 3 | 0 | 3 | 10 |
| ACL | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 |
| チーム | 背番号 | 選手名 | 得点数 |
|---|---|---|---|
| GRIZZLIES | 0 | 尾花一輝 | 2 |
| 11 | 金谷洸希 | 2 | |
| 56 | 小峰拓真 | 2 | |
| 64 | 種村魁 | 3 | |
| 70 | 宮田友博 | 1 | |
| ACL | 0 | 西濱虎之介 | 1 |
| 11 | 浅中佳祐 | 1 |
GRIZZLIES「継続的に日本一なる」道の途中
「日清食品presents第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会」(以下、全クラ)準決勝戦は、日本一2連覇中のGRIZZLIESがACLを相手に10-2で圧勝しました。GRIZZLIESにとって、この勝利は「継続的に日本一になる」道の途中。
一方、「関西から日本一」を掲げたACLの答え合わせは一旦ここで終わります。「進んでいる道は合っていた」。主将#16佐山新之介さんが再建したACLの精神は来年以降へと引き継がれていきます。
ゴールを狙うGRIZZLIES#11金谷洸希選手と必死で止めるACL#3今村元気選手
1Q はGRIZZLIESペース
(本文中の得点は、HOME対AWAYの並びです)
1Q開始のフェイスオフ(以下、FO)はGRIZZLIES#70宮田友博選手とACL#31山本真也選手により行われ、GRIZZLIES#70宮田選手が自身でボールをスクープし、そのままゴールへ向かいシュートしました。ACLゴーリー#2杉本健選手がセーブするも、その前にあったACLディフェンスのプッシングにより、開始25秒でいきなりGRIZZLIESマンアップオフェンスの状況が作られます。
パス回しから、一人多い状況を活かし、ゴール前でフリーとなったGRIZZLIES#0尾花一輝選手が得点、開始1分で1-0とGRIZZLIESが先制します。
開始4分半、GRIZZLIES#11金谷洸希選手がゴールエリアライン付近からの豪快なシュートで2-0へ。
3度目のFOでもGRIZZLIES#70宮田選手がボールポゼッションすると、10秒後には#0尾花選手が2得点目を上げ3-0へ。
4度目のFOでACLは、ロングスティックの#3今村元気選手を投入します。初のACLボールポゼッションとなり、ACL#11浅中佳祐選手がシュートを撃つも、GRIZZLIESゴーリー#3大嶋省吾選手がセーブしクリアへ。
1Qのほとんどの時間GRIZZLIESがボールポゼッションし、GRIZZLIES #56小峰拓真選手の得点で4-0へ。
最後のFOもGRIZZLIES#70宮田選手がポゼッションし、1Q は4-0で終了します。
フェイスオフシーン
2Q もGRIZZLIESペース
2Q最初のFOは、GRIZZLIES#33武田雄介選手とACL#3今村選手により行われ、GRIZZLIESファールでACLボールからスタート。ACL#0西濱虎之介選手が1on1でディフェンスをかわしシュートを撃ちますが、枠を外れます。ACLのボールポゼッションが続き、再び#0西濱選手が同じくゴール左側からシュートを放つも、GRIZZLIESゴーリー#3大嶋選手がファインセーブで得点できず。その後、パスミスでGRIZZLIESボールとなると、#15松本友伯選手からのパスを受けた#64種村魁選手が得点し5-0へ。続いて#11金谷選手の2得点目により6-0としたあと、ACLディフェンスのファールにより、GRIZZLIES が1分間のマンアップオフェンスとなります。ACLゴーリー#2杉本選手による2本のファインセーブで危機をしのぐも、GRIZZLIES#64種村選手が2得点目を上げ7-0へ。
残り2分を切り、ACLクリアでMF#16佐山新之介選手から#26藤井直樹選手へパス、#26藤井選手が#11浅中選手へパスを出すと、#11浅中選手の1on1からのシュートが決まり、ACL初得点で7-1へ。
最後のFOもGRIZZLIESボールとなり、GRIZZLIES攻撃のなか2Q終了。
3Q 、ACLが反撃するもGRIZZLIESリードのまま
3Q最初のFOは、GRIZZLIES#14古原虹弥選手とACL#31山本選手により行われ、GRIZZLIES#14古原選手がボールポゼッション。GRIZZLIES攻撃が続くなか、ACL#3今村選手がチェックでボールを落とすと、一気にセンターラインまで駆け上がりますが得点にはならず。その後、どちらも得点できないまま残り2分半で、ACL#0西濱選手が本日2得点目で7-2。ACLの反撃はここまでで3Q終了。
ゴールを狙うACL#0西濱虎之介選手
4Q残り2分、GRIZZLIESの怒涛の攻めで10-2へ
4Q残り2分で#56小峰選手が2得点目を上げ、8-2へ。
残り1分。リードを許しているACLはライドでも前線から積極的にプレッシャーをかけようと試みますが、GRIZZLIESゴーリーからのクリアで、ボールラインが上がるのが早く、ACLのディフェンス陣が守備に付ききれません。その隙をついたGRIZZLIES#56小峰拓真選手が、ゴール前でフリーになっていた#64種村選手にパスを出し、フリーでシュート。本日3得点目を上げ、9-2へ。
残り18秒でもGRIZZLIESは攻撃の手を止めません。
FOでGRIZZLIES #70宮田選手がボールポゼッションすると、そのまま走り抜けシュートへ。撃ったシュートは外れるも、ACL攻撃途中に落ちたボールをGRIZZLIESがスクープ。早いパス回しののち、GRIZZLIES#70宮田選手がシュート。10-2へ。この間、FOから5秒。
最後のFOでグラウンドボールを取り合う間に試合終了。10-2でGRIZZLIESが勝利し決勝戦へ進出です。
2025年11月29日 GRIZZLIES 対 ACLの見逃し配信はこちら
3Qに何が起こっていたのか
1Q、2QはGRIZZLIESペースの試合展開でしたが、3QはGRIZZLIESに得点がありません。オフェンス陣に何が起こっていたのでしょうか。GRIZZLIES主将#11金谷洸希さんにお聞きしました
「3Qで、ACLがテンマンライド(※)を仕掛けてきたので、GRIZZLIESのクリアの成功率が下がってしまったというのが一つあります。もう一点、ACLがマンツーマンディフェンスからゾーンディフェンスへ変えてきたことで、ペースが乱されたということがあります」。
※テンマンライド:ライドにおいてゴーリーもライドに参加することで、リスクを取ってボールダウンを狙いにいくことができる戦術。
4Qでの3得点はACLゾーンディフェンスを崩した結果か
4Qでは、残り2分でGRIZZLIESが3得点しましたが、ACLのゾーンディフェンスを崩せたからでしょうか。
「あれは、ACLのゾーンディフェンスを崩したのではなく、GRIZZLIESのフルフィールドのクリアでACLが崩れた局面での得点です。攻略できていたわけではありません。でも、自分たちの得意な流れで得点できたのはよかったです」(金谷さん)。
世界を目指すGRIZZLIESにとって全クラ準決勝の意義とは
GRIZZLIESが目指すのは、日本一3連覇だけではありません。
「GRIZZLIESは、世界で勝つための環境を日本で作るという意味で存在しているので、世界を目指すことを大前提として活動しています」。
そう答える金谷さんは、2018年と2023年男子世界選手権大会へ日本代表選手として出場しました。GRIZZLIESには他にも多くの日本代表経験者が在籍し、2026年1月に開催される「アジア·パシフィック選手権大会 2026」には7名の選手が日本代表として出場します。
世界を目指すGRIZZLIESにとって、全クラ準決勝戦とはどういった意義があるのでしょうか。日本ラクロスに与える影響についてお聞きしました。
「日本が世界におけるレベルを上げるために、世界の選手たちと対戦する機会を増やすのと同じように、関西や地方の選手と関東のチームがプレーする機会が増えてくれば、日本全体が盛り上がるんだろなと思います。関東と関西が一緒に練習し、交流し一緒に高め合っていけるような回数が増えたらいいなと思っています」。
地区を越えた交流が増えれば、日本ラクロスはもっと盛り上がるはず(左:GRIZZLIES主将の金谷選手 右:#16ACL主将の佐山選手)
「関西から日本一」を引き継ぐACLの若手選手
「ACLを本気で『関西から日本一』になるチームにしたいと思ってきた」。
試合後、涙ながらに応援席に挨拶したのは、ACL主将#16佐山新之介さんです。「3ヵ年計画」を立て、ACLを3年連続で全クラへ出場するチームへと再建しました。
3年目の今年、目標であった「日本一」に辿り着けませんでしたが、道はまだ終わったわけではありません。その精神は若手選手たちに引き継がれています。入部1年目の#43坂崎大輔さんと#4秋元隆さんにお聞きしました。
ACL#43坂崎大輔さんの場合
クリアするACL#43坂崎大輔選手
ACL#43坂崎大輔さんは、この4月に岡山大学を卒業したばかり。「関西から日本一」をどこまで本気で捉えているのでしょうか。
「学生のころから関西へ来て、ACLの練習に参加させてもらっていました。『3ヵ年計画』のことも、今年が3年目であることも知って入部しました。去年在籍していた上手い選手たちが抜けたので、新人としてもチームの力になりたいという気持ちがありました。練習へも必ず行って、先輩たちの思いを聞いていくなかで、『関西から日本一』という目標を自分ごと化できるようになってきました。今日も、本当に勝つ気でいたし、絶対に関東を突破してやるという気持ちで試合に出ていました」。
3Qを0点に抑えたことについてもお聞きしました。
「最初、全員が浮足だっていたのは分かっていました。1Qでは、張り出しが強くなってしまって、ディフェンスの形が広くなり、ゴール前をうまく使われたので、修正し、浮足立つのをやめて、俺たちは勝ちに来たんだから、しっかり恐れず行こうと話しました。マンツーマンで何失点かすればゾーンに変えるとみんなで決めていて、想定していたはずなのに、ディフェンスは新人が多く浮足立ってしまいました。経験が足りないし、シンプルに技術も足りない。だけど、まだまだ来年、再来年もあるのでチャンスを掴んでいきたいです。GRIZZLIESは個人技がすごいなと思いました。チェックが入っても落ちない。新人の自分としては、個人技術も伸ばしていかないといけないと思っています」。
#4秋元陸さんの場合
ディフェンスするACL#4秋元隆選手
#4秋元陸さんは、現在、京都大学に在学している選手です。
「学生のときから関東が強いという風潮自体をなくしたいと思っていました。関西のクラブチームにも強い個人技がある選手が集まっていたので、『関西から日本一になる』ことについては、できなくはないと思っています。関西が勝つことで、関西のラクロスや全国の他地区のラクロスが活性化して、日本全体のレベルが上がることで、ラクロスがもっともっとおもしろくなると思っています」。
3Qを0点に抑えたことについてもお聞きしました。
「マンツーマンディフェンスを途中で辞めて、練習していた別のディフェンスをやるようにして失点が減りました。特に3Qはその守り方で失点がなかったので、上出来だったと思います。ただ、ディフェンス時間が長くなる守り方をしたので、もう少し自分たちでアクションして、ボールを奪って、オフェンスにつなげるべきでした。そこは反省しています」。
外から見ていると、オフェンスに繋げる意識は感じられていたのですが。
「ボールを奪えたときは積極的にクリアでオフェンスに繋げることはできたかなと思います。でも、奪うまでに時間をかけ過ぎた。グランドボールも自分たちが取れるように改善すれば、もう少しオフェンスへ繋げられたと思います」。
3年で築き上げたものは簡単に失われない
ACL主将の佐山さんは、GRIZZLIESとの対戦を終え「技術の差」がすごくあったと振り返ります。難しいパスを通すこと、シュート決めること、立ち位置、パスを出すタイミング。
「個人が持つ技術の差を痛感しました」。
それでも、ACLが3年掛けて築こうとしたものが何であったか、ベンチからの声で分かります。
「こうちゃん、ナイスディ」、「ポジティブ、ポジティブ」、「いいよ、いいよ」。
得点した選手へは「アサナカさん、ありがとう」。
アタックリーダーの#5尼田さんのクォータータイムでの「しゃべろ、しゃべろ」。
いいプレーがあると、「これ、続けよ」。
ボールを奪いたい気持ちが勝ってGRIZZLIESオフェンスへ危険なチェックをしたチームメイトには「平謝りだけしとこ」と優しく切り替えを促します。
佐山さんがチームを去ると、この良さが消えてしまうのではないかと心配になりました。
「3年掛けて築き上げたものは簡単には失われない。みんなで積み上げたものなのでみんなのなかにちゃんと根づいている。時代が変われば変わる部分もあるから、もっといいものがあるかもしれないが、チームとしてラクロスを楽しむことは大事にしてほしい」。
全クラ決勝戦は日本ラクロス最高峰の戦い
全クラ決勝戦は、どちらも日本代表を多く抱えるGRIZZLIES(東日本1位)とKAWASAKI FALCONS(東日本2位)の対戦となります。日本ラクロス最高峰の戦いを目の前で見るチャンス! 是非とも会場へ足を運んでください。
会場へ足を運べない皆様にはライブ配信もありますので、そちらをご覧ください。
【決勝戦 試合情報】
日時:2025年12月13日(土) 11:00フェイスオフ
場所:大井ホッケー競技場メインピッチ(東京都品川区)
対戦カード: GRIZZLIES(東日本1位)対 KAWASAKI FALCONS(東日本2位)
テレビ東京スポーツYoutubeチャンネル
「テレスポ」で決勝戦のライブ配信決定!

テレビ東京スポーツYouTubeチャンネル「テレスポ」にて
12月13日(土)決勝戦を無料ライブ配信
配信スケジュール
🏆 男子決勝戦 11:00 フェイスオフ
GRIZZLIES(東日本1位) vs KAWASAKI FALCONS(東日本2位)
🏆 女子決勝戦 14:00 ドロー
NeO(東日本1位) vs MISTRAL(東日本2位)
テレビ東京アナウンサーによる実況に加え、タレントの照英さん、まるぴさんをゲストにお迎えし、豪華体制でお届けします。2026年女子世界選手権、2027年男子世界選手権、2028年ロサンゼルスオリンピックへと続くラクロスムーブメント。日本代表候補も多数出場する頂上決戦をお見逃しなく!
※テレスポ配信は東京都及び公益財団法人東京都スポーツ文化事業団の協力により実施
Photo by 日本ラクロス協会広報部 中村真澄
Text by 日本ラクロス協会広報部 岡村由紀子














