Interviewインタビュー

2025年11月23日(日)、「日清食品presents第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会」準決勝戦が東京会場で行われました。男子はKAWASAKI FALCONS、女子はMISTRALが勝利し、男子女子ともに東日本2位のクラブが決勝進出を果たす結果となりました。
男子レポート
KAWASAKI FALCONS (東日本クラブ2位) ◯13-0 ⚫️ OPEC VORTEX (東海クラブ1位)
| チーム名 | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| KAWASAKI FALCONS | 2 | 2 | 4 | 5 | 13 |
| OPEC VORTEX | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
試合前
準決勝戦東京会場の顔合わせは、東日本クラブ2位のKAWASAKI FALCONSと東海クラブ1位のOPEC VORTEX。3大会連続8回目の出場のOPEC VORTEXは初戦、4-3で逃げ切り勢いに乗る。東日本クラブリーグ戦出場チーム相手に食らいついていけるか。迎え打つKAWASAKI FALCONSは日本代表メンバーが多数在籍する選手層の厚みを見せつけることができるか。
前半 (1Q, 2Q)
(本文中の得点は、HOME対AWAYの並びです)
スコアは1Q2-0、2Q2-0で計4-0とKAWASAKI FALCONSリードで試合を進める。特に1Qはシュート数ではほぼ互角の試合展開。OPEC VORTEXは「こちらの強みを知られる前に先制点や1Qで2、3点決めてという展開に持ち込みたかった」(MF #13 山城拓也主将)。その言葉通り、立ち上がりで攻めあぐねるKAWASAKI FALCONS相手にゴール裏や連携プレーを生かしてシュートを打ち続ける。「OPEC VORTEXのディフェンスシステムやゴーリーの反応が良く、シュートはできるが決めきれない嫌なシーンはあった」(#17MF 黒田健志郎)。OPEC VORTEXが東海地区1位の矜持を見せる。一方、2026年1月に行われるアジア・パシフィック選手権大会に出場する日本代表選手が多く在籍するKAWASAKI FALCONSも黙ってはいられない。AT#14吉田健生からの切り込みから最後はMF#13石村嶺のゴールで先制。波に乗り切りたいKAWASAKI FALCONSだったが、「1Q、2Qともにいいオフェンスが出来ていたが、ただ決定力が良くない部分があった」(AT#14吉田健生)と話す通り、OPEC VORTEXの鋭いディフェンスが立ちはだかり、効果的なシュートが打ちにくくなった。前半は4-0で折り返し、OPEC VORTEXも逆転可能な点差でハーフタイムを迎えた。
後半 (3Q, 4Q)
一転して後半はKAWASAKI FALCONSが怒涛の攻撃を見せる。3Q4-0、4Q5-0と後半だけで9得点と力の差を見せつけた。
「平田ヘッドコーチ(以下HC)から、シュートは外しているものの、オフェンス自体はいいよといってくださっていた。ディフェンスはゴーリーが止めてくださっていたので、無理に気負いすぎず、今まで通りペースを変えずにやっていければ自ずと点差は開いていくという部分はあったと思う」(#17MF 黒田健志郎)。その金言を受け取った選手たちが力を見せる。組織力、一対一で優位に立つKAWASAKI FALCONSが、OPEC VORTEXのパスミスのこぼれ球、ディフェンスのギャップに切り込み、確実に得点を重ねていく。そして、若手も躍動した収穫もあった。KAWASAKI FALCONSが最終スコア13-0で勝利した。
講評
「フェイスオフ(以下FO)はずっととってくれていたので、そこがオフェンス自身もプレッシャーに感じすぎずにできていました。今日の点差の要因だと思います」(#17MF 黒田健志郎)。言葉通りKAWASAKI FALCONSのFO勝利数はこぼれ球含め驚異の9割超。大差の大きな要因となった。OPEC VORTEXの山城主将も「FOの勝率が圧倒的に違うというところで、そこをなんとかしていかないとなかなかいい結果に結びつけるのは難しいと思った」と、試合開始のFOがラクロスの試合展開に大きな役割を果たすことが顕著に表れた試合となった。
KAWASAKI FALCONSは決勝に向けて、「チームがシーズン当初に掲げたのは、世界に通用する選手を生み出す、世界で活躍する選手を生み出すということです。そこをぶれずに最後の3週間やっていく」(#17MF 黒田健志郎)。一方、前半では善戦したOPEC VORTEXの山城主将は「卒業する学生を勧誘してまた強いチームを1から作っていくことと、1on1(一対一の局面)で勝たないといけない、FOも重点的にやってもう一度この舞台に戻ってきてリベンジしたい」と関東の壁を打ち破るべく来年度もチームの歩みを進めていく。
女子レポート
MISTRAL (東日本クラブ2位) ◯17-5 ⚫️ FUSION (東日本クラブ3位)
| チーム名 | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| MISTRAL | 6 | 2 | 4 | 5 | 17 |
| FUSION | 1 | 1 | 1 | 2 | 5 |
試合前
東日本クラブリーグ所属チーム同士の顔合わせとなった準決勝戦。東日本クラブリーグ戦では2度対戦し、リーグ戦では8-3、プレーオフでは11-3 でいずれもMISTRALが勝利しています。
FUSIONは前回敗戦を糧に準決勝の壁を打ち破れるか。対するMISTRALはシードのため準決勝からの出場。東日本クラブリーグ戦からの準備が試合で発揮できるか。
前半 (1Q, 2Q)
1QからMISTRALがFUSIONに襲いかかる。「大差で勝つと言うことを目標にやってきた」(MF#88 大野以千子)。その言葉通り、AT#66 冨森美帆の仕掛け、起点としたフィールドを広く使った展開を活かし、AT#52 藤村麻伊のゴールを皮切りに得点を積み重ねる。一方のFUSIONもMISTRAL陣内でのファールを獲得し、再開直後のAT#10 下村実緒の得点で巻き返す。「MISTRALはブレイクが上手なチームなのでそこの部分は守り方を何度もチームで繰り返し練習した」(MF#35 新海友恵主将)。何度も対戦している両者だけに手の内を把握している中でどう戦っていくか。1Q6-1、2Q2-1の8-2でハーフタイムを迎えた。
後半 (3Q, 4Q)
突き放すMISTRALに対しFUSIONも巻き返す。「前回までと違ったのは、点差はついたが、流れがMISTRALに行き切ってなかったと言うことは感じていた。3Qからが勝負で、まだ流れが行き来っていないと言うところだった。オフェンスだとこの2週間では個人に特化して、何が強みかをポジション別に研究しながらやっていた」(MF#35 新海友恵主将)。点差がつく中でチームの士気をまとめ上げ、MF#1春木理沙とAT#10下村実緒を中心に、ドローを獲得し、FUSIONのボールポゼッションから着実に得点を取る。前後半合わせてもMISTRALのイエローカードで数的優位に立つ時間もあり、マンアップの状態で得点に結びつけたシーンもあった。MISTRALが最終スコア17-5で勝利した。
講評
女子も試合開始のドローの勝利数が明暗を分けた。特に両者共にドローから得点に結びつける展開が多く、MISTRALは突き放した1Qのドロー勝利数はこぼれ球を含め100%。「ドローはすごくこだわっていた。ドローに関わる人たちで、たくさん練習もしてきたので、こうやって獲得率が高くて良かった」(MF#88 大野以千子)。一方のFUSIONも大差はついたものの、各Qで得点を積み重ねた。また、イエローカードによる一時退場から確実に得点に結びつけ、数的優位の時間をいかに長い時間作り出せるかがラクロスの試合展開で重要な点だと気づかされた。
MISTRALは5年連続の決勝戦。「2年連続でNeOに敗れ、次こそはと言う気持ちで今年はシーズンインからやってきている。気合と、準備する期間も短いが、最後までやり切ってMISTRALの良さを出せたらと思う」(MF#88 大野以千子)と今年にかける意気込みを見せる。
FUSIONは来シーズンに向けて、「一つのボールへの執着心など、そういうところはもっとやっていかないといけない。MISTRALやNeOに対して、いつも3位に甘んじているのでそこに勝つにはそう言う泥臭さが必要と思う。練習の中で完結することなく、極めていきたい」(MF#35 新海友恵主将)。全日本クラブ選手権優勝経験のあるチームをさらなる高みに育て上げられるか、来シーズンの彼女たちの成長した姿にも注目である。
【応援に行こう!】
日清食品 presents 第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会 準決勝戦(大阪会場)
- 日程: 11/29(土)
- 会場: ヤンマーフィールド長居(大阪府大阪市)
- 試合開始: 男子 11:00 FO / 女子 14:00 DRAW
- 対戦:【男子】GRIZZLIES(東日本クラブ1位) vs ACL(関西クラブ1位)
【女子】NeO(東日本クラブ1位) vs NLC SCHERZO(関西クラブ1位) - チケット: Peatixにて発売中!
- ライブ配信:男子:ライブ配信はこちら/女子:ライブ配信はこちら
日清食品 presents 第26回ラクロス全日本クラブ選手権大会 決勝戦
- 日程: 12/13(土)
- 会場: 大井ホッケー競技場メインピッチ
- 試合開始: 男子 11:00 FO / 女子 14:00 DRAW
- チケット: Peatixにて発売中!
日清食品 presents 第35回ラクロス全日本選手権大会 A1
- 日程: 2026/2/1(日)
- 会場: 国立競技場
- 対戦カード: 大学日本一 vs 社会人クラブ日本一 (男女1試合ずつ)
Text by 高橋 昇吾 (ラクロスマガジンジャパン編集部ライター)













【試合後の選手コメント】
KAWASAKI FALCONS
MF #17 黒田 健志郎 選手
お客さんの声援: 今年始まってからキッズファルコンズを実施しています。小学生やその親御さんが足を運んでくださるので、応援席を見て普段教えている子たちが声かけてくれたのは力強く感じています。
OPEC VORTEX
MF #13 山城 拓也 主将
お客さんの声援: 東海地区から東京まで応援に来てくださったのはありがたいですし、観客席から近くで声援もたくさん聞こえていて力になりました。
FUSION
MF #35 新海 友恵 主将
お客さんの声援: 嬉しいですね。MISTRALとFUSIONが試合となるとMISTRALでしょと言う風潮がまだあると思うのですが、シュートで一緒に喜んでくれて、一つ一つのプレーで一緒に盛り上がってくれると言うのは、すごくありがたいです。
MISTRAL
MF #88 大野 以千子 選手
お客さんの声援: いいプレーしたらすごい歓声が聞こえるし、ドローの時も周りの声援はすごく聞こえるので、力になりました。